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Cの世界・17

更新が遅くて申し訳ないです。。。
風邪はなんとか治り気味なので、ここらでペースを上げたいところです…

今回の「Cの世界」はギアス世界です。
文中で白の騎士と称しているものが、ギアス世界のスザクになります。ややこしいのですが、こう表記しないと、後でもっとややこしいことになってしますのですよ。。。も、申し訳ありませんっ><;
お話もだんだん佳境にはいってまいりました! 20話前後で終わる予定をしていますが、予定は未定です!!(←おい)
できれば、最後までお付き合いください!





17.その重さに、やっと気付いた










舗装されていない道を、車椅子が進む。
かたかたと、たまに揺れるが、あまり気にはならない。だって、車椅子を押してくれている人と、横に付き従うかのように歩いている人が、車椅子が揺れないように注意してくれているから。
ナナリーは見えない瞳を、人の気配のする方に向けた。


「カレンさん、咲世子さん、あとどれくらいですか?」
「もう少しですね」
「もうちょっとだけ、我慢しててね?」
「はい」


優しい二人の声に、ナナリーは安堵した。
視線をそっと上に向ける。
ちらちらと光がまばらに感じられた。今歩いている道はちょっとした森のような場所だから、木漏れ日がそっとナナリーに降り注いでいる。
今住んでいるアリエスの離宮から、ほんの少し歩いたところにある小さな森。その森の、中心部。
ナナリーは、一週間に一度ここを訪れる。いつもはこの三人だが、たまにミレイや異母兄姉が一緒に行くこともあった。
森の少し開けたところに、小さな墓が二つ。一つは母の。もう一つは、兄の。
兄の墓には、兄の好きだったチェス盤と、ミレイがたくさん持っていた写真が入っている。遺体は、どうしても見つからなかったから。


「さ、着きましたよ」
「まずは花、供えましょうか」
「あ、私が花輪にします」
「そう? じゃあお願いして、私は葉っぱとか掃除するわね」
「では私は水を汲んでまいりますね」


咲世子は少し離れた泉に水を汲みに行く。カレンが、持ってきた花をナナリーに手渡してくれた。
ナナリーは手渡された花を、器用に編んで、花輪を作っていく。昔、まだ母が生きていた頃の離宮で、兄に教えてもらったのを思い出しながら。
そう言えば、ユフィ姉様は上手く作れなくて、よく兄に作ってもらっていた。ナナリーは、上手く作れた花輪を見て喜んでくれる兄も嬉しかったが、本当は自分も兄に作ってほしかった。
懐かしいことを思い出して、ナナリーは穏やかに笑う。
そんなナナリーを見て、カレンは葉を退かすのを少し止めて微笑んだ。


「………ナナちゃん、優しい顔で笑うようになったわね」
「ふふ、今までそんなに酷かったですか?」
「今まではなんか、張り詰めた笑顔だったわよ? こーんな風な」


言うと、カレンは汚れを拭った手で、ナナリーの頬を包み込んで押さえた。
ナナリーはくすくす笑う。


「思いっ切り泣いたのがよかったみたいです。まだ、吹っ切れてないかもしれないですけど、昔のこと、思い出しても前ほど胸が痛まなくなりました。カレンさんのお陰です」
「私は何もしてないわ。それはナナちゃん自身の力よ」


お互いにくすくすと笑い合う。
兄がいなくなったことでできた胸の中の穴は、すぐには埋めることのできないくらい大きいものだけど。それでも、今周りにいてくれる人たちは、みんな優しいから。だから、まだ笑うことができる。だから、まだ泣くことができる。
ふと、兄のことを思った。
天国か、地獄か、それ以外の場所かにいる兄には、隣にいてくれる人はいるのだろうか?
笑っている時、泣いている時、兄の側にいてくれる人は、いるのだろうか?
ナナリーが考え込んでいると、カレンが弾かれたように包んでいた手を離し、ナナリーを庇うように前に出た。
そして、目の前の生け垣に殺気を放つ。


「そこにいるのは誰!? 姿を見せなさい!!」


カレンが腰に帯びていた剣をすらりと抜く。今にも飛びかかるかのような雰囲気で、カレンは腰の重心を落とした。
がさがさと、音がして、生け垣から出てきたのは、くるくる回る茶色の髪の白の騎士。
カレンは目を見張った。


「く、枢木スザク!?」
「………え?」


どうして彼が、こんなところに?
ナナリーは震えそうになる手を、固く握りしめることで押さえる。
その様子を見たカレンが、いっそう殺気を帯びて白の騎士を睨み付けた。


「いくらシュナイゼル陛下の直属だからって、ここに勝手に入り込まないでちょうだい! それ以上近づいたら切り捨てるわよ!!」
「………………………」


シュナイゼルが皇帝になってから、特派は宮殿の中心部に研究所が置かれ、そこで開発を行っていた。同じ宮殿内とは言え、アリエスは一番端の場所にある。迷い込んだとは思えない。
白の騎士は、表情を歪めて一歩、前に出た。カレンが剣先を向ける。


「聞こえなかったの? ナナちゃんに近づかないで! 貴方、自分が何をやったのか分かってるの!?」
「………カレンさん、大丈夫ですから」
「っ! でも!」


ナナリーの手が、カレンの腕にそっと触れる。カレンは困惑気味にナナリーを見た。
ナナリーは白の騎士がいるだろう方向をじっと見る。


「こんにちわ、スザクさん。どうか、なさったんですか? 何か、ご用事でしょうか? ………何か、話して、くれますか? いらっしゃる場所が分からないので」
「………………なな、りー」


声のする方に、顔を合わせる。その表情は、何も表していない。微笑むことも、泣くことも、怒ることさえも。
白の騎士は、泣きそうになりながらナナリーを呼ぶ。


「ナナリー………」


わかっていたこと。もう、あの笑顔は見ることはできない。もう、自分に笑いかけてはくれない。
ぼろぼろと涙が溢れ落ちていく。それを拭ってくれる手は、ない。
ナナリーは静かに言う。


「スザクさん、私、貴方にどういう風に愛を渡していたのか、もう、分からなくなってしまいました…。あの頃は、自然に、貴方に触れられたのに、もう、分からないんです」
「ナナリー……」
「………スザクさんも、お兄様にお花、供えてくれませんか…? お兄様のこと、恨んでいるでしょうけど、それでも……」


ナナリーは花輪を差し出す。白の騎士は動かない。
視覚がない分、ナナリーは人の気配に敏感だ。前に会った時のような、びしびしと突き刺さるほどの憎悪が、感じられない。今感じられるのは、戸惑い、悲しみ、そして、後悔。
白の騎士は一歩前に出たかと思うと、その場に崩れ落ちた。涙が、ぼたぼたと地面に落ちる。


「な、なりー………………ごめん、…ごめん」
「…どうして、謝るのですか? お兄様は、覚悟を決めていました。貴方は、お兄様が憎かったんでしょう? …ユフィ姉様を殺された、から。覚悟を決めて、お兄様を撃ったのでしょう? なら、謝らないで下さい」


ナナリーは無表情で言う。
ごめん、と、消え入りそうな声で白の騎士は何度も呟いた。
ナナリーは車椅子を動かして、白の騎士の側まで移動する。カレンが一瞬止めようとしたが、手を伸ばすことはできなかった。


「私は、もう貴方に愛を与えることは、できません。……でも、お兄様は、貴方も幸せになることを望んでいたと思います。……だから」


ナナリーの手が、白の騎士の濡れた頬にそっと当たる。白の騎士は、はっと顔を上げ、ナナリーの顔を見た。彼女は、悲しそうに笑っている。久々に見た、彼女の表情に、白の騎士はよりいっそう涙が溢れてくるのを感じた。
こんな、悲しい笑顔を彼女にさせているのは、自分。彼女を悲しませたのも、自分。もう、笑いかけてもらう権利なんて、自分には存在しない。


「泣かないで、下さい。お兄様のこと、許せないと思います。だけど、泣かないで。この優しい世界を否定しないで」
「ななりー………」
「お兄様を、否定しないで。貴方も、幸せになって。…お願いです」


ナナリーこそ、自分が憎いだろう。許せないだろう。だって、彼女の最愛の兄を殺したのは自分なのだから。
でも、でも。頬に触れてくる指の感触は、昔と変わらない。あの、幸せだった頃と、全く。
V.V.に言われたことが、頭の中を巡る。

『彼らは君に愛を惜しみ無く与えていたじゃないか。君から与え返されることなんて望まずに』

手は、優しく頬を撫でる。
愛し方が分からなくなったと言った彼女は、今持てる全ての優しさで撫でてくれている。
ああ、僕は、何故この手を突き放すことができたのか。
ああ、僕は、何故この手を取ることを選ばなかったのか。
今さら考えても、遅いけれど。
涙は止まることはなく、彼女の指まで濡らしていく。
白の騎士は、ぽつりと呟いた。


「………………許されたい、訳じゃないんだ」
「…スザクさん」
「許してもらおうなんて、思わない。…思えない。そんな権利、僕には、俺には、ないから。………でも」


白の騎士は、頬に触れているナナリーの手に、そっと触れた。
ナナリーが一瞬震える。それは、仕方のないこと。だから、そんな悲しそうにしないで。


「ナナリー、彼は、笑ってるかな? 今度こそ、幸せにしてるかな? ……一人で何もかも背負って、涙を流さずに泣いてないよね? 誰か、側にいてくれているよね?」
「スザクさん…」
「やっと、やっと気付いたんだ。もう、遅すぎるけど……。俺は、彼から何にも聞いていないって。自分のこと、ばかりで、彼が何を思っていたのか、知らないんだ。分からないんだ。なのに、俺は………っ」


ナナリーが白の騎士の頭を抱き寄せた。
懐かしい香りが、優しかった記憶が、胸に溢れていく。


「お兄様は、幸せになってますよ、きっと。ううん、絶対」


白の騎士を抱き締めて、ナナリーは泣き笑いの表情。
カレンはその様子を動かずに見ていた。いや、むしろ動けなかったのだ。カレンの頬に、一滴の涙が溢れ落ちる。


「だって、そうじゃないと、悲しいもの。優しい、世界じゃないもの。だから、だから…っ」


抱き寄せているナナリーの背に、白の騎士の手が、すがり付く。ナナリーは、今度は震えずに受け止めた。

その瞬間、二人の周りの空間が色を変える。森の風景から、真っ黒の空間へと。カレンはいない。二人だけだ。二人の姿が、真っ黒な空間の中、ぽっかりとそこだけ光を放つかのように見えていた。
雰囲気が変わったことを敏感に察知したらしく、ナナリーは怪訝そうな表情。白の騎士は困惑しつつも、ナナリーを庇うように立ち上がった。


「…スザクさん、いったい………………っ!?」
「どうしたの、ナナリー?」


ナナリーは白の騎士に視線を向けたまま固まってしまっている。白の騎士は、周りを警戒しながら尋ねた。


「わ、たし、目を閉じてますよね?」
「え? …うん」


ナナリーは手で、自身の瞳に触れる。その手は震えていた。


「…見えるんです」
「え?」
「スザクさんの、顔、見えるんです。…目は、閉じたままなのに………」


どう言うことなのだろう。この空間は、いったい………。
辺りを探ろうと、視線を動かすと、真っ黒だった空間が、瞬きの間に真っ白になった。
ナナリーも白の騎士も、ただ驚くことしかできない。
ナナリーは周りを見渡した。白い世界が見える。そんな白い世界の中で、人影が見えた。
漆黒の髪、人形のように白い肌、深い紫水晶の瞳。
その人影も、呆然とこちらを見ていた。


「………………………お、兄様…?」










会いたいと、願っていた人が、そこにいる
ああ
夢でも良い
夢でも良いから、覚めないで


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2007.08.17 | | Comments(3) | Trackback(0) | 捏造・長編 / Cの世界

コメント

お大事に。

毎回、割と更新の頻度が高いのにここ何日か見ないな~と思ってましたが、風邪を引かれていたんですね。
ご無理をなさらないよう、お気をつけ下さいね。お大事に。

>その重さに、やっと気付いた
 タイトルからしてくるるぎの心情が分かりますな。後悔という字は「後」で「悔いる」から「後悔」なんだという事が分かるタイトルですね。

>「スザクさん、私、貴方にどういう風に愛を渡していたのか、もう、分からなくなってしまいました…。あの頃は、自然に、貴方に触れられたのに、もう、分からないんです」
「いってきます」があったので、当然の如く「いってらっしゃい」を言った。
 そうやって惜しみなく愛を与えていましたが、そこはやはり人。
 「いってらっしゃい」のその後には「ただいま」があり、「おかえりなさい」を言えるものだとばかり思っていた…。
でも言えなかった…、言えなくなってしまった…。
愛をいくら与えても、少しでも返されなければ、心を疲弊する。
 その結果としてナナリーがスザクへの愛の渡し方が、分からなくなってしまったとしても、それは当然の事。
ってか寧ろ、これ以上ヤツに愛をあげる必要なんかナッシング!
ルルとナナリーの愛に甘えてたヤツになんか勿体無いです。

>「………………許されたい、訳じゃないんだ」
「許してもらおうなんて、思わない。…思えない。そんな権利、僕には、俺には、ないから。………でも」
当たり前だ!
そんな資格なんかねぇっ!!
そんな事を思うこと自体、おこがましい!!

2007-08-17 金 03:48:00 | URL | 紗鳳寺 のえる #- [ 編集]

初めましてでしょうか?
そうじゃないきがしますが、こんにちわ。
風引いているんですか!
お気を付けください・・
本当に!!
夏風邪ほどひどいものはありませんからね・・
二重に暑いというか・・
続き楽しみにしております^^

2007-08-17 金 16:03:44 | URL | 葉月 #XuCvEEms [ 編集]

コメントありがとうございます!

>紗鳳寺のえる様
はい、もうだいぶ良くなったので、更新スペースは元に戻りそうです。ありがとうございます!
今回は、枢木に多少甘いお話ですよね。でも、ルルーシュもナナリーも、枢木を嫌いになりきれないと思うのです。なんだかんだ言っても、やっぱり兄妹は優しいですから、責めたりできなさそうと感じてしまいます。
………いえ、私もちろん黒いルルーシュとか黒いナナリーとかも好きなんですけど、この話の中の兄妹は優しいタイプなので、こんなお話に……
でも、責められない方が堪えるってことありますよね? 枢木にはそれを味わってもらおうかと☆(笑)
お話も佳境になってまいりまして、後少し! 最後まで、どうぞお付き合いくださいVv コメント、ありがとうございました!!


>葉月様
えと、たぶん二回目ですね。ありがとうございますVv
風邪も、もう良くなったので大丈夫です! ご心配おかけしましたっ><;
夏風邪は辛いですよねー暑いのに熱い……最悪だ……うちわで扇ぎながらひーひー言ってました(笑)
続きも早く更新できるようにしますねーがんばります!
コメント、ありがとうございました!


2007-08-18 土 01:05:30 | URL | あず #- [ 編集]

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