スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- | | スポンサー広告

Cの世界・4

いつもとはちがうCの世界です。
元の世界でのナナリーとカレンの話なので、暗い上にスザクに優しくありません。ご注意下さい。
時々、こんな感じの元の世界の話とかも入れたいと思っています。もちろん、暗いですけど前向きな方向で!






4.地面は、渇かない










拝啓、親愛なるお兄様。

お久しぶりです。
テレビでお兄様のことはよく見ていましたが、それはゼロとしてのお兄様であって、お兄様ではないのだから、久しぶりというのは合ってはいるのですが……
やっぱり、少し違和感があります。

お兄様が亡くなってから、私は脱け殻のようだったと、咲世子さんに言われました。
ゼロが死んでから、私は生きることを思い出したみたいだと、ミレイさんに言われました。

私は、お兄様が亡くなったと言われた時、置いていかれたと愕然としました。

私にとって、お兄様は世界そのものでした。
お兄様がいれば、他にはなにもいらなかったんです。
お兄様がいれば、どんな状況だろうが笑って幸せだと言えたんです。
だから、脱け殻みたいになったんじゃなくて、ナナリーもその時一度死んだのです。世界が壊れてしまったんです。

私は、ゼロが死んだと言われた時、思い出しました。
お兄様は、ゼロは、優しい世界を創ると言っていた。
それは、私のためだったのでしょう? 私が望んだからなのでしょう?
お兄様はいつも肝心なところが抜けてますよね。私は、私にとっての優しい世界は、お兄様がいることが前提だったんですよ?

お兄様がいて初めて、私の世界は成り立つのです。
お兄様がいて初めて、私の世界は色付くのです。

なのに、お兄様がいなくなっては、この世界で生きていけないと思ったから、脱け殻みたいになったんです。

でも。

お兄様が私のために創った世界。
その世界を、私は否定してはいけないって気付いたんです。
その世界を、私が否定してはいけないって気付いたんです。
だって、それはお兄様を否定することだから。
だから、だから、私はこの世界で生き続けます。
貴方の分まで。

お兄様。私は、今、幸せです。
ミレイさんも咲世子さんも、シャーリーさんもカレンさんも、リウ゛ァルさんもニーナさんも、シュナイゼルお兄様もコーネリアお姉様も、
みんな、みんな、優しい人ばかりです。

世界も優しくなりました。
世界も平和になりました。

そちらにも、届いてますか? この世界がこんなに優しいということが。

お兄様が、ゼロが旅立って、色んなことがありました。
私は今、アリエスの離宮で暮らしています。シュナイゼルお兄様が手配してくれました。
そこで、咲世子さんとカレンさんと一緒に、ひっそりと暮らしています。
たまに、ミレイさんやコーネリアお姉様が遊びに来てくれて、毎日退屈はしません。
そうそう。お兄様のお墓は、お母様のお墓の隣にしてみました。
そちらで逢えていると思いますが、ずっと離ればなれだったから、良いでしょう?
いずれ、ナナリーもそちらに行きます。
その時は、私のお墓も二人の隣にしてもらいます。

迎えに、来てくれますよね?
私は笑って、幸せだったと伝えるために、生きていきます。

だから……。






こんこんっと扉が叩かれる。
ナナリーは録音装置のスイッチを一旦止めた。
今はすでに深夜。辺りは静まっており、だいたいの生き物は眠る時間。
扉の向こうどころか目の前さえ見えない少女は、全てが見えているかのように微笑んで、扉の向こうに声をかけた。


「はい。どうぞ、カレンさん」


許しを得て、扉が開く。
カレンはおずおずと部屋に入った。


「こんな時間にごめんね、ナナちゃん」
「いえ、大丈夫です。……どうか、しましたか?」


いつも通りな様子のナナリーに、カレンは表情を歪ませた。
車椅子に座る少女の足元に膝まづく。


「………辛い時まで、笑わなくていいのよ?」
「辛くなんて、ないですよ? だって、世界は優しいから!」


変なカレンさん。と、ナナリーは笑う。
カレンは、その細く小さな手を包み込んだ。
辛くないはずがない。だって、だって。


「今日、枢木スザクが来たんでしょう?」


びくっと、ナナリーの身体と笑顔が強ばる。
その様子を見て、カレンはひどく後悔する。用事なんて、訓練なんて、いくらでも後回しにできたのに…っ!


「一緒に、ついていられなくて、ごめんなさい。一人で、辛い思い、させちゃったよね」
「辛く、なんて、ありませんでしたよ? 平気、でした」
「咲世子さんから、話の内容は聞いたわ。だから、思い出さないで」
「辛く、なんて」
「あいつの顔なんて、思い出さないで」
「………………」


ナナリーが、固まったまま黙り込む。カレンも話すことなく、ナナリーの手を握り続けた。
沈黙が、部屋の中に満ちる。
笑顔を張り付けていたナナリーの顔から、表情が、抜けた。


「………スザクさんのこと、好き、でした」
「………………」
「私も、お兄様も。スザクさんのこと、大事だったんです。家族、みたいに思ってたんです。いつも、すごく、心配してたんです」
「………………」
「いつだって、愛があったんです。愛は、押し付けるものじゃないし、見返りを求めるものじゃないから、なにも、言わなかったんです」
「………………ナナちゃん」
「言った、方がよかったのかしら。
 軍に、帰ると言ってるスザクさんを見て、お兄様が、私が、どんな思いでいたのか。
 おかえりなさいって、ずっと言っていたのは、お兄様と私がいるところが、帰る場所だと、思ってほしかったからだとか」
「………………ナナちゃん」
「言わないと、わからないですよね。気付かないですよね。離れていきますよね。他人、なんですもんね」
「………………ナナちゃん、泣いて、いいのよ?」


カレンの片方の手が、ナナリーの頬に触れる。
ナナリーは、首を横にふった。


「泣きません」


表情の抜けた顔で、きっぱりと言う。
カレンは、そんなナナリーを見て、似ていると思った。…兄妹なのだから、似ていて当たり前なのだが、この二人は姿があまり似ていないから。
あの人も、泣かなかった。誰にも、打ち明けずに。
それとも、彼の共犯者にくらいは打ち明けていたのだろうか?


「泣いてしまったら、この世界が優しくないって、言っているようなものでしょう? それではいけないんです。お兄様を、否定してしまうから」


ナナリーは、優しい世界にいなくちゃいけないんです。
カレンはぐっと唇を噛む。
自分が泣いてはいけない。一番、辛いのは自分ではないから。先に泣いてしまっては、この子が泣けなくなるから。
でも、多少涙声になるのは、許してもらいたい。


「ナナちゃん、涙って、悲しい時だけじゃないじゃない?」
「え……?」
「涙って、嬉しい時にも流れるよね? だから、今ナナちゃんは嬉しくって泣くのよ。だから、泣いても、かまわないの!」
「カレンさん……」


上手く笑えているだろうか。目の前の少女は、目が、見えないけれども。そんなことが、気にかかる。


「そう、ですね。嬉しい、です。幸せ、なんです。だから………だから……っ」


静かに涙を流すナナリーを、腕の中に抱き締める。
全てから守るように。全てを吐き出せるように。
ナナリーが手を伸ばして、自分を優しく抱き締めているカレンを同じように抱き締め返す。
そして、二人は、真夜中の闇の中、静かにひっそりと泣き続けた。










私は、いつだって幸せでした
そう言って、笑える時が、いつかは来るのだろう
ずっと先の未来で逢える時に、嘘偽りのない笑顔を、貴方に贈れるように
そうなるように精一杯生きていきます
だから
逢えた時は、笑って、迎えて下さいね? 約束ですよ、お兄様


スポンサーサイト

2007.07.07 | | Comments(0) | Trackback(0) | 捏造・長編 / Cの世界

コメント

コメントの投稿


秘密にする

«  | HOME |  »

プロフィール

あず

Author:あず
ここは、管理人あずによる期間限定女性向け非公式ブログサイトです 公式とは一切関係ありません
サイト内の画像や文章は無断転載、複製、配布等の利用禁止です
基本ルルーシュ至上主義です 

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。